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夏目録−小説家って名乗ってみるか

ただただ小説って良いよねって話をするところ。紙とインクが好き。

小説家になりたいって思ったら 3

作者が自分に酔いすぎてて、何言ってんだかわからない

 

では具体的に解消していきましょう。

 

 

私、光栄にも賞の選考のお手伝いをさせて頂く機会があったりもするのですが……このバージョンの方、一昔前に結構多かった。

 

もしかしたら、内容面(後述)と被ってしまうかもしれませんが、気をつけて綴ると言う意味では技術面だと思うので、ここでお話しさせて頂きますね。

 

 

このタイプの過ちの典型例はコレ

 

 

20××年 

暴君の死と供に光が堕ちた

ベンデロフの祝福はアサドリアの呪いに覆われる

赤き焰の時に 大樹の頂に星が三つかかる

月は姿を消し 大地が割れるだろう

七番目の子に六花が顕われるとき

サイドリアンドレスはアサドリアの呪いに打ち勝ち

ベンデロフは再び月を伴うだろう

 

 

 

こういうヤツ。

同じ感じで、なんかのわらべ歌みたいなやつとかね。

 

 

適当に作ってみたんですけど……数行ならともかく、こういうのを二ページとかやっちゃうのはどうかなあって思います。

別に良いんですよ。やっちゃダメって言うわけじゃない。やって成功した例もあるでしょう。

 

 

でも、最も人を引きつけなくてはならないところで、大昔の賢者の言を延々と入れるのはもったいない。それに、読者は早いところ話に入りたいわけで、世界感とか歴史とかを語られても「オープニング、なっが!」って思われることも多い。

映画とかアニメなら、ポップコーンの準備でもしているうちに何となく流れて行っちゃうんで良いんでしょうけど。

漫画も背景で山間の街だよ、少年が走ってるよ、ってのを描きながらプロローグ入れられたりするので良いのでしょうけど。

小説、文字だけだからね。

 

 

ですので、こういうのは本にしたときに本文前につけましょう。何ならタイトルの前とかね。んでもって結局ちゃんと本文で、物語の中で紹介する。

すると読者さんは「ああ、最初の方にあったなんかかっこいいヤツね!」って言ってくれるかもしれない。

 

ウェブ小説ではより顕著。コレだけ見せられて「次へ」を押すかって考えると、なかなか難しいのではないでしょうか。

作者としては書きたい、それはもう痛い程わかります。

ですがここはユーザーフレンドリーを念頭に。

 

リンクに上がる前に入り口を閉じないで!

 

 

 

でも、どうしても予言を入れたい。

ううん、そう言うときもありますよね。

 

 

私ならどうするかなあ……多分、石版とか見つけさせるかなあ……って思います。

思いつきだけど。何なら血みどろの書物とかでも良い。

 

創作例 

 

 慌ててシュットを揺すってみたけれど、何度頬を叩いても、何度名前を呼んでも、その開ききった瞳が動くこともなければ、唇から呼気がもれることも無かった。

「シュット」

 僕が彼を誘わなければ、この森に入らなければ。

 あんな獣に教われることも、穴に落ちることも、シュットが

「死ぬことも無かったのに」

 いつもきれいに整えてあるシュットの髪は、落下したときに乱れてしまった。僕はその頭をそっと撫でた。手のひらが濡れる。

 その時、シュットの頭の下で何かがゆっくりと色を変えているのが見えた。血を吸っているのだろうか。シュットの血を吸って、何かが不気味に色づいていく。

「石版……?」

 そう呟いた時、その不気味な何かが突然粉々になった。途端、聞いたことの無いしわがれた声が頭に響く。

 

 

20××年 

暴君の死と供に光が堕ちた

ベンデロフの祝福はアサドリアの呪いに覆われる

赤き焰の時に 大樹の頂に星が三つかかる

月は姿を消し 大地が割れるだろう

七番目の子に六花が顕われるとき

サイドリアンドレスはアサドリアの呪いに打ち勝ち

ベンデロフは再び月を伴うだろう

 

 

 その声は僕の頭の中を引っ掻き回し、耳鳴りを伴って消えて行く。

 その突然の衝撃に、僕は頭を抱えてうずくまった。その時だ

「リ……ヒル」

「シュット!」

 勢い良く身体を起こしてみたものの、すぐに視界が揺れた。

「リヒル」

 僕の身体を受け止めてくれたのはシュットだ。死んだはずのシュット。その彼が、心配そうな目を僕に向けていた。

 ああ、死んでいなかったのだ。

 僕の思い過ごしだったのだ。でも、シュットは怪我をしているはずだ、ちゃんと治療をしなくては。そう言おうと彼の顔を見て息をのんだ。

 シュットの顔には、一面、見たことも無い文字がびっしりと浮かび上がっていたのだ。

 

 

 

シュットって誰だろう。リヒトは誰だろう。まあ、思いつきなんで許してください。

多分シュットは石版の呪いとかを受けて、耳無し芳一みたいに顔中に古代文字とか浮かんでてその代わりに生き返ったりしてて、文字はリヒト以外には見えないとかになってて。二人は年を取ることも無く、消えた月でも探しに行くのでしょう。

頑張れ。

 

 

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とかかなあ。

 

 

歌ならば、子供が遊んでいる光景を見ていたら、どこからとも無く聞こえて来たとかにしますかねえ。王道かな。

 

 

キャラクターとか世界とかへの愛と設定が重過ぎて、登場人物紹介を隅々までやられて、のろけ話はもう良いよ……ってなる

 昔、久美沙織先生が「このシーンは、登場人物の瞳の色が赤いってのをかきたかっただけなのよ」っておっしゃっていたことがとても印象的です。

 

 

どういうことかって。

意味なく

 

夏目晶。身長は○○センチで髪は黒髪、瞳はヘーゼルで、ブラックジーンズとグレーのスポーツメーカーのパーカーを着ている。

 

なんていう紹介はしないと言うことです。

コレではただの説明文。小説なので描写でなんとかこのデータを出していかなくてはなりません。

 

身長等が単独で話題になるのって、結構限定的ですよね。

自分から見て高い、低いなら、まああり得るでしょう。

身体測定とかがあって身長の話になったり

身長が重要なスポーツ(バレーボールとかバスケとか)の話だったりする場合は身長だけを話題にすることもあるでしょう。

女性同士で体型の話をしていたり、

雑誌に乗ってる芸能人が「○○センチだって!」っていうのも良い。

 

もちろん、効果的に使える場合もあります。

その場合には、何度も何度も同じフレーズを使ってみたりして、そのフレーズがただの説明文ではないと言う印象を持たせたりする工夫も必要かもしれません。

 

ファンタジーなどで良くあるのですが、服装のことをごてごて語ってみたり、髪型がどうのって言ってみたり。

ただ説明しているだけでは、きっと私と同じことを言われてしまいます。

なんて言われたかって……

 

 

描写しないなら、ただのメモ書き

 

 

ええ。ええ。選評でそう書かれたことすらありますけど。何か。

酷評なんてなれてるもんね。ちょっと泣きそうになるだけだもんね。

 

 

ええと、描写してあげてください。

背が高いならば主人公から見上げる動作を挟んで、○○センチもあるもんねと言わせたり。

 

 

 

そうそう。漫画を書いていた方が小説に転向する、私ですが(笑)、そんなときに苦しむシーンがあります。

 

 

王様とかが素敵な格好でバーンって出てくるシーン

軍人さんがマントを翻してぱっと登場するシーン。

素敵な服装と素敵な行動が伴って素敵なシーンになるはずのやつ。

あれって一気に描写しつくすのは至難の業です。

一画面で描き出すのは、画面のある創作物の特権だと思います。

 

んじゃ、どうやってバーンとかパッと登場させるんだよって、なりますよね。

なります。

むちゃくちゃ悩みました。

でも、今日は私なりの解決方法をお伝えしますね。

 

 

もし使えそうならぜひ使ってやって下さいね。

 

 

王様バージョン。

 

王様(既に物語で登場しているのを前提とします)が着替えるシーンを入れます。

もしくは着替えて場に向かっているシーンとか。

ここで、普段はちょっと厳しい人から「似合う」と言わせたり

仕立て屋がいかに苦労して仕立てたのかを説明させて

いつもは柔和だったりする王様の表情を引き締めさせて、直後にバーン!です。

謁見の間は静まり返って、窓から入ってくる光が帯になっていたりして、皆道をあけて、静まりかえったなかで、王が座につく。そして、まあ……執事みたいな人が

「では」

って言ったりして沈黙を破る。

 

 

助走をつけるって言うとわかりやすいでしょうか。

ためてためてためてバーン。

ためるところで服装とか表情とかを描写しちゃう。そして一気に場面転換してみる。カメラを引く感じです。

 

ああ、カメラについては後ほどお話ししますね。

 

 

軍人さんバージョン。

 

 

こっちは一気に扉を開けます。

 

軍人さんがドアを開ける。

周りの目が軍人さんに。それを無視して足を進め、一点で立ち止まり敬礼。

この一瞬場が止まったところで描写します。

見ている人目線で、出来ればちょっといつもとは違った部分とか、目を引く部分があるのを理由とすると良いかもしれません。

怪我をしているとか、普段はしない正装だとか。身体の観察が終わって、敬礼の手に視線がいって、とうとう顔に到達したところで口を開く(音を出す)。

 

 

カメラワークと内容が被りますので、今はまあ描写の中に説明的な描写も組み込むってのをお勧めするよってことを聞いて頂ければ。

 

 

長くなって来たので、分割!